マッターホルンを眺める展望台

エルマットの街からはマッターホルンを眺める展望台へ登って行く登山鉄道・ケーブルカーが何本もあって、さらに冬になればスキーのリフトがそれに加わり誰でも、とても容易に素晴らしい景色を楽しむことが出来るようになっています。3000メートルを越えるところにある展望台では空気の薄いのを実感できます、又展望台を中心にしてハイキングの道があちこちに向けて縦横に広がりとても便利な展望台なのです。

ゴルナグラート展望台

駅前から出ている登山電車でここまでは簡単に登って来ることが出来ますが高度が3131メートルもあります、走ったりすると空気が薄くなっているのを実感します。ホテル・レストランがあり、いつもにぎわっています。ホテルの後ろ側にある小高いところまで登ります、そこが展望台・・・・と言ってもちょっとした広場と周囲の山々を表示したプレートがあるだけの場所ですが、展望は360度マッターホルンはもちろんモンテローザ、ヴァイスホルンなど、一度はその名を聞いたことのある山々が一望できるところです、アイガー・ユングフラウも見えるとのことですが遠くて確認は難しいです。


       上の写真はゴルナグラート展望台からマッターホルンを眺めたもので、建物は山岳ホテルのクルム・ホテル。

モンテローザ

展望台で先ず目に入るのがモンテローザ、モンテローザの名前は、‘バラの花びら’とか‘ばら色に染まる山'と言うような意味ではありません、古いロマニシュ語の‘氷の山’というところから来ています。
この山、実は、モンテローザと称する、ピークの山ではありません、
10以上もの峰々の集まりの総称をモンテローザと呼んでいるのです。
最高峰のピークはイタリア側の4634メートルのデュフール・シュピーツ、スイス側は4609メートルのノルトエンドです。
モンテローザはイタリアと共有しているところからスイス国の最高峰の山はモンテローザではなくて、4545メートルのドムとなっています。
デュフールは赤十字の創設者のアンリ・デュナンと赤十字創設に参加した5人委員会のメンバーの一人であったC・Hデュフール将軍の名をとったものです、ジュネーヴのヌーブ広場には彼の銅像もあります。
 写真:丸い山がモンテローザ山塊、グレンツ氷河をはさんで、右の山がリスカム、


ブライトホルン
ゴルナー氷河の向こう岸に見える、つるつる頭の氷の山はブライトホルン・4164メートル。
ブライトホルンとは‘照り輝いている山’と言う意味ではなくて、ドイツ語の‘幅の広い’と言うところからきています、スイス国内にはこのブライトホルンをはじめ同じ名前の山が8ツもあるのです。
こちらから見ると大変厳しい形をしていますが、反対側は雪原になっていて(雪原と言っても急斜面です)マッターホルン登頂の足慣らしや、雪上訓練の場としても登ることができます。

写真:ブライトホルン氷河がゴルナー氷河に落ち込んでいるのがよくわかります。








シュタインポックの水飲み場

登山電車の終点駅から展望台へ向かう坂の途中で、動物園へ行ったときに臭うあの臭いがします。
右手の崖の下に動物たちの水飲み場があって観光客の姿が少ない朝夕、どこからともなくシュタインポックやゲムゼ(かもしかの一種)が水を飲みに来るのでこのような臭いがするのです、運がよければこれらの動物の姿を目近に眺めることができます。また電車の中でも注意をしていると、草原の中でチョコッと動くものを見つけることがあります、マーモットです。ぴー、ぴーと甲高い声が聞こえたら、それはマーモットの鳴き声、岩穴に巣を作っていて日向ぼっこに顔を出したりするをのでよく見かける可愛い動物です。

ゴルナー氷河の末端
延々と流れるゴルナー氷河、その末端はどうなっているのでしょう?ゴルナー氷河の末端は氷河が溶けてツエルマットの街の真ん中を流れるフイスパ川になります。
フイスパ川の上流、(氷河の末端)は両側から崖が迫り、狭い隙間になっていて、そこに氷河の末端が詰まっています。これが氷河でなければ、大量の水が流れ落ちる滝になっていることでしょう。氷河の下のほうは大きな空洞になって大量の融けた水が轟々と水しぶきをあげて水源になっています。

 写真:あの大きな氷河の出口はこんなにも狭い、ここまで流れてきた氷河の上には上流より運ばれてきた大きな落石が乗っているが、直ぐに落ちそうでなかなかな落ちない。                                                      
                                                                                              


スネッガ展望台

ツエルマットの街からメトロ(トンネルの中を走っているケーブルカー・・・だからメトロです)のケーブルカーに乗って5・6分、到着したスネッガ駅は2288メートルの高原の真っ只中、周囲にはお花畑が広がり、下の方には小さな池のライゼーが見えています。
マッターホルンは裾野から頂上までその全貌を余すことなく見せてくれます。
ここの展望台はシーズン中は大変にぎわって、席を見つけることが難しい時があります、しかし、心配ご無用、近くの高山植物の咲き乱れる草原に腰を下ろして、一服すれば、そこは最高の席になります。
スネッガは又、四方八方へ向かうハイキングの基点ともなっています、その上、ここから更に、そして又更にとケーブルカーが延びていて、ハイキングのコースを増やしてくれています。


   写真はライゼーの池のほとりより眺めたマッターホルン


マッターホルンを眺めながら昼寝のできるレストラン

スネッガの展望台の真下に数軒の古い農家が見えて、旗が立っていてレストランがあることがわかります、この部落を目指して急な坂を下りると、今度は今まで見えていなかった左側の方に小さな礼拝堂のある集落が見えてきます、ここにシーズン中に開いているなかなか立派なレストランがあります。
スネッガ展望台の喧騒をよそにここは静寂そのもの、このレストランでは朝から晩までゆっくりとマッターホルンを眺めて過ごすことが出来ます、なにしろ、このレストランには、寝椅子になったベンチがあって、昼寝をしている人も見かけます。
冬はこんなに高いところでも太陽が当たると暖かいので、スキーのあとはシャツ一枚になって日向ぼっこができます。このレストランの名は‘ヴェロニー

 メモ:このレストランも最近は、シーズン中は混雑するようになりました。


                                  
                                      写真:ヴェローニのメニューの看板は枯れ木に書いてある

ハイキングのへそ
スネッガの展望台からは四方八方へ向かうハイキングのコースが拡がっています、さらにスネッガから乗り継いで行くケーブルカーがありハイキングのコースをさらに広げています、ケーブルカーは主にスキー客に利用されるのですが夏場にも運行をしています。
手軽なハイキングコースを歩いて、周囲にある湖(複数・5ツある)のいくつかを訪ねてみましょう。

グリーンジーゼー

スネッガ高原の一帯には大小5っの湖(池)が点々とありますが、その中で周囲に木が生えているのは唯一つ、グリーンジーゼーです。周囲には落葉唐松が生えていて、夏には涼しい木陰をつくり、秋には雪をかぶったマッターホルンを背にして,紅葉(黄色が濃い)の美しいところになります。
ここへは直接、登山電車もケーブルカーも通じていません、少し山道を歩かなくてはなりませんが、それだけにとても静かなたたずまいを見せてくれます。



ステリーゼー

  スネッガからブラウヘルト行きのケーブルカーに乗り継いで、約1時間半も歩くと割合大きな、ステリーゼーに着きます、
ここまで来ると、行き先にモレーンの上に赤いよろい戸のフルーエヒュッテが見えてくる、ひと踏ん張りしてモレーンにつけられた道を登ると、ヒュッテに到着です。
ヒュッテと言っても立派な山岳ホテルでテラスからはやや遠くなったマッターホルンの大展望が広がります。ここの高度は2600メートルです。

写真:周囲をごろごろしたろモレーンに囲まれたステリーゼーは割合に大きな池で風が無い時(めったに無いのですが)は逆さマッターホルンを映し出しています。。
  
        *この写真はヴァリス観光局よりいただいたものです。



ツエルマットへ向かって
スネッガからツエルマットの街へ降りるくだりコースがあります。
はじめは、マッターホルンを眺めながらの、くだりコースなので気分がよいのですが、やがて森林地帯に入ってしまい夏は暑いので、歩いてのコースとしてはあまりお勧めしません。(冬、スキーで降りてくるのは良い)
このあたりの森の中には‘山スグリ’が実ります、口を紫色にして食べながらジャムの材料を採って来るならこの道を下りてください。

クラインマッターホルン展望台




クラインマッターホルン展望台
右の三角の岩がクラインマッターホルン、この岩山をくりぬいて作ったエレベーターで昇ると3131メートルの展望台、その向こう側は雪原が一面に広がり夏の間は午前中の雪がしまる時間帯にだけ
氷河スキーが楽しめます。
     そして、イタリアの国境は目の前になりレストランではイタリア語が幅を利かすようになります。

エッ!これがマッターホルン?

クラインマッターホルン展望台、ここからマッターホルンを眺めると、誰もが‘エッ・?これがマッターホルン?・本当なの!’と声を発します。
ツエルマットの街をはじめ、その他の場所から今まで眺めてきた美しいマッターホルンはイタリア側に近づいてくると、‘ウーン、これぞマッターホルン’の感激から‘これがマッターホルン?’へと変わり、その後ろにあるダン・ブランシュが対照的に美しく変わります。
さらに南側のイタリア側に近づくとその姿をすっかり変えてしまいます、しかも名前まで‘モンテ・チェルヴィーノ’に変わるのです。



トロッケナーシュテイクより眺めたマッターホルン

この写真は、クラインマッターホルンへ行くケーブルカーの二回目の乗り換え駅トロッケナーシュテイクの展望台からマルターホルンの東壁を見たものですがこのトロッケナーシュテイクあたりからでさえこれほど形が変わります。















モン・ブランは?
この展望台からはヨーロッパの最高峰モン・ブラン(4810メートル)をはじめグランドジョラスなどの姿をはっきりと見ることができます、しかし、反対に、フランス・イタリア側の展望台から眺めるとそこにある案内板にはマッターホルンの名前はありません、確かにマッターホルンらしきピークは見えているのですが何故でしょう?
マッターホルンのことをフランス側では‘モン・セルヴァン(牡鹿の角)、イタリアではモンテ・チェルヴィーノ(牡鹿)と呼んでいるのでフランスやイタリア側の展望台にはマッターホルンという名前がどこにも書いてないのです。

イタリア国境を越えて


クラインマッターホルン展望台のケーブルカーを降りて、真っ直ぐにトンネルを突き抜けると、目の前に雪原が広がります。
雪原の左側はブライトホルンへの登山ルート、右側は夏の間も滑ることのできる氷河スキー場とイタリア国境への峠のテオデュールパスへと通じています。
このテオデュールパス(3464メートル)は、古くローマ時代から開けていてスイス側からは暖かい南国イタリアへ通じる憧れの峠だったのです。
紀元前1世紀頃のローマの金貨がこの峠で発見されています、この頃の商人か旅人が厳しい峠越えの安全を願ってか、または無事ここまで到達したことを感謝して置いていったものでしょう。
この金貨はツエルマットの山岳博物館の2階のコーナーに展示されているので見ることができます。
写真:イタリア側のテオデュールパスから眺めたマッターホルン、奥の三角の    山はダンブランシュ




シュヴァルツゼーからの展望


ケーブルカーを一度乗り換えて登ってくるシュヴァルツゼーにはホテルがあり、テラスで休息ができるし景色も良いし、ハイキングの出発点にもなるので準展望台と言えるでしょう。
ここはマッターホルン登頂の基点にもなり、マッターホルンは将に目の前、首が痛くなるほど見上げることになります。

写真:シュヴァルツゼーホテルとマッターホルンです、昨夜はマッターホルンは雪だった、8月でも雪が降ることがあるのです。

マッターホルンに登る

本格的にマッターホルンに登るのはとても難しいが、これからいよいよ急登が始まるという地点まで行くのは状況がよければそれほど難しくはありません。
マッターホルンの厳しい状況を体験できます。(ヘルンリ小屋まで行く時は出来るだけ、経験者またはガイドと一緒が安全です)



写真:ここまで登るとヘルンリの小屋もはっきり見えて登山者の姿も見えてきます。
    写真の稜線の真ん中にある黒い点がヘルンリ小屋です。




シュヴァルツゼーを一巡りして、ツエルマットへ


文字通りの黒い色の小さな池のほとりに礼拝堂があります。マッターホルンは手前の山にさえぎられて見えませんが、かわりに人食い山の異名のあるダン・ブランシュが見事です。
ここから、ツムートの部落を経由してツエルマットへは、道順も今はわかりやすくなり、散歩気分のハイキングが出来ます。
マッターホルンを少し北側に回り込んで見ることになり北壁と氷河の大きさに驚かされます。

      シュヴァルツゼーとダン・ブランシュ               礼拝堂の後の山はブライトホルン


   

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